プロフェッショナル仕事の流儀の佐藤直紀さんの回の感想と著作権についてのお話
NHKの番組「プロフェッショナル仕事の流儀」佐藤直紀さんの回を拝見しました。(2016年3月21日放送)
佐藤直紀さんを検索してみるとパクリとも出てくるので著作権についても私の意見を書きました。
佐藤直紀さんのプロフィール
1970年5月2日生まれ千葉県出身。
東京音楽大学作曲科卒業。
作曲家、編曲家をされています。
3000曲以上の曲を作曲されてきました。
中学生の時にピアノの先生の影響で作曲に関心をもつようになったそうです。
仕事場は自宅の地下にスタジオがあり、1人で曲を作るんですって!
こだわりが強い職人気質の方なのかもしれません。
手がけられた作品
映画
「暗殺教室」「寄生獣」「永遠の0」「ALWAYS三丁目の夕日シリーズ」
テレビドラマ
「救命病棟24時」「連続テレビ小説カーネーション」「大河ドラマ龍馬伝」
「ウォーターボーイズ」「GOOD LUCK!!」「精霊の守り人」
アニメ
「暗殺教室」「ふたりはプリキュアシリーズ」「Yes!プリキュア5シリーズ」
「ALWAYS三丁目の夕日」では第29回日本アカデミー賞・最優秀音楽賞を受賞されました。
何をパクったの?
「ALWAYS三丁目の夕日」の曲を「佐藤さんとは別の人が制作会社に提供したのに、編曲した佐藤直紀さんの作品にされてしまった」と主張される方が居るようです。
映画のエンドロールなどでは効果音に対してこの曲は誰が作ったと細かく表記がされていません。
ざっくりと関わった人の名前が載っている感じですよね。
この映画のサウンドトラックがあるのですがそこに収録されている曲は全て
佐藤さんが作曲したと表記されていますね。
真相は制作会社や佐藤さんにしかわからないことですが沢山の人で作り上げていく作品などは音楽業界だけではなく、まだ名前が売れていない段階では表に名前が出ないこともあるかと思います。
(その方の名前はわかりませんので有名か無名かは不明ですが)
他にも似ている曲があるという話題もありますが具体的にここが一緒だったとかの情報がないので似ている。という段階だと思います。
作曲と編曲の違い
ここで作曲や編曲とはどういう作業なのかを見てみましょう。
作曲とは
簡単に言うと楽譜を作成する作業。
最近ではパソコンなどの普及で楽譜を書かずデジタルデータのままというのもあるそうです。
音楽のメロディーを作る作業という感じですかね。
編曲とは
既にある曲の主旋律はそのままで、他の部分に手を加えていく作業。
例えばアコースティックギターで作曲したメロディーにドラムやベースを足してバンドアレンジをするという感じでしょうか。
主旋律に手を加えることは「変奏」というのだそうです。
著作権法からみると
楽曲を編曲する権利は著作者(作曲した人)にあるようです。(著作権法27条)
なので勝手に編曲したり、著作者が嫌だと思うような改変は著作権侵害になるようですね。(著作権法20条)
既に編曲(1)された楽曲を編曲(2)するときは、編曲(1)の編曲家にも著作権が認められ、同時に作曲した人にも著作権が発生するようです。(著作権法28条)
楽曲を営利目的で利用しようとすると様々なところに許可を取らないといけないのですね。
パクリの定義
パクリというのは盗むという意味ですね。
人のものをそのまま使用してしまうとアウトですね。
今回の例のように人が作曲した音楽を自分が作曲したと発表するのも本当ならアウトですね。
そうなると、似ているという段階のものはどうなのでしょうか?
今や様々な音楽があふれています。
全く聴いたことのないような音楽は滅多にありませんしそんな音楽は万人受けするのは難しいでしょう。
同じ人(ここではAさんとします)のいろんな曲を聴いていると新曲で初めて聴いても「あ、Aさんっぽい」と気づいたりします。
1)Aさんだと思っていたら違うBさんだったと言うこともあります。
2)逆に「え!この曲Aさんなの?」という時もあります。
3)Aさん、同じ感じの曲ばっかりという時もあるかもしれません。
どこからがアウトなのかというと、真似しようとして使用した場合です。
1)のAさんだと思っていたら違うBさんだった。この場合!
・BさんがAさんの曲を聞いて一部や全部を使ってしまうとアウト。
・BさんがAさんの曲を聴いたことがなく、Bさんのオリジナルだと証明されれば大丈夫と言うことです。Bさんが発表した後にAさんの曲を知った時も大丈夫だそうです。
オリジナル側から訴えがあるということが大きいようで似ているな〜っと思ってもオリジナルが黙認している場合は問題にはなりません。
そういうことも多いかもしれませんね。
プロフェッショナル仕事の流儀
公式ホームページのこれまでの放送で佐藤さんの回のまとめ部分を
画像で見ることができます。
番組を見て思ったこと。
作曲家ではなく作曲屋
佐藤さんの作る曲のジャンルは「劇伴」と呼ばれる映画やアニメなどの映像に乗せる音楽。
一般の人が「もともとある作品のBGMを全然違うものに変えてみた」という遊びの動画を
見たことがあるのですが音楽が変わると映像の雰囲気や受け取る情報が全然違うもになって面白いなと思ったことがあります。
自分たちの歌う曲を作るというのはアーティスト、芸術家だと思うのですが
劇伴のような曲を作るのはデザイナーや職人という方がしっくり来る。
映像があって、全てを含めて作品というものを作るのは自分の思いだけで作るものではないですよね。
「作曲家ではなく作曲屋」という言葉はそういう意味ですかね。
どれだけ映像を生かすことができて、監督などの意向に添えるかが問題。
個性がないと言われてきたとおっしゃっていましたが文字のように小学校でみんな同じように書き方を教わっても人それぞれ違いが出ます。
個性というのはそういう風に意識せずとも出ているものだと私は思います。
たくさん作っていくと、意識しなくても癖というのがきっと出ていて、そこを聞いた人が感じて、曲を聴くとこの人の曲だとわかったりするんですよね。
曲だけではなく、絵や写真、映像、文章、仕事の仕方などにも同じことが言えると思います。
建築なんかも見る人が見たら誰が建てたかもわかっちゃうんですよね。
佐藤さんが作曲しているドラマやアニメを見たことがあり、音楽だけでなく映画やドラマの作品全体的にも好きな作品が多いですが曲の特徴は覚えていませんでした。
「佐藤さんの曲」ということを意識していなかったからかもしれません。
佐藤さんは気付かれなくてもいいとおっしゃっていましたが今回、プロフェッショナル仕事の流儀を見て佐藤さんが作曲したものを連続で聞いていると同じ作曲家の人が作った感じはわかりました。
どこが同じとか説明はできないのですが・・・
そこに気づいて佐藤さんが音楽を担当された映画やドラマを観て聴いて佐藤さんの音楽が好きだと言っている声も多く見かけますね。
産みの苦しみ
作曲ではありませんが、産みの苦しみというのはよくわかります。
頭だけで考えていても出てこないし、すらすらと出てくることはない。
ただ手を動かすしかない。
佐藤さんは天から降ってくることがないとおっしゃっていましたが、
ずっと、ずっと考えて、手を動かして、一度休む。
そうすると休んでいる時にふっと思いついたりするんですよね。
そういう時に降りてきた!って思うことが私はあります。
佐藤さんの場合、ジムに行ったり、息子さんとサッカーをしている時間が
頭を休ませている時間であって大切なんだと思います。
そういう時に頭が整理されてふとアイディアが出てきたり、まとまるんだと思います。
こだわり
何回も考えたりしてご自宅のスタジオで作った曲をオーケストラで収録する際も、何回もやり直して収録したりする。
妥協せず「ここ」だというポイントを見つけていくんですね。
絵だったら1mm、2mmの修正をしたり、文章だったら一文、一言の修正だったりするところが、音楽だったら、1音、タイミングなどそれぞれこだわりがあるんだなと思いました。
私はどちらかといえば絵などの視覚表現タイプなので音楽を聴いて色やイメージが自然と思い浮かんだりするのですが作曲家の人たちは逆に映像から音を思い浮かべるのですね。
小説や漫画を読んでいて、登場人物のそれぞれの声を思い浮かべることはありますが曲に関わる人は流れてくる音とかも思い浮かべたりするんですかね?
映画やアニメ、ドラマを観ていると映像とともに音楽の盛り上がりで涙が出てきたり、鳥肌が立ったり、心が動かされたりするので音楽って大事だなと思いました。
普段、J-POPなどのアーティストの曲に込めた思いとか舞台裏とかは見たりするのですが、劇伴の方はあまり見ていなかったのでとても勉強になりました。
まとめ
- 別の人が作曲した曲を佐藤さんが作曲したとして発表したという噂がある。
- その噂の真相は当人にしかわからないが、パクリに関してはオリジナルが訴えるかどうかという点が大きい。
- 他にも似ている曲があると言われているが具体例は無く、似ているという段階の可能性が大きい。
- 実際にプロフェッショナル仕事の流儀を見て佐藤さんは真剣に曲を作られていると感じました。また、お子さんと接してるのを見て、仲の良い親子だなとも思いました!
オリンピックのエンブレムのデザインもパクリだった?と言うこともありましたが音楽にかぎらず完全にオリジナルのものを生み出すのが難しい時代だと思います。
0から生み出すというは本当に大変。
かと言って人のものをそのまま使ってしまうのも問題ですよね。
色んな物を見て、いろんな事を体験して自分で噛み砕いて出てきたものはオリジナルとして価値が有るのではないかなと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!